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アン・ヒョソプ「GQ KOREA」2025年7月号インタビュー全文|幸せ・哲学・人生観を語る

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「GQ KOREA」2025年7月号で、アン・ヒョソプがカルティエ サントスとともに語った“時間”“幸福”“人生哲学”。

俳優としての現在地だけではなく、自分自身と向き合う姿勢、過去の選択、そして「今ここ」を大切にする考え方まで、深く語ったインタビューになっています。

今回はインタビュー内容から印象的だった言葉を抜粋しながら、ヒョソプの考え方を紹介します。

*GQ KOREA記事はこちら(韓国語)

目次

「GQ KOREA」2025年7月号 アン・ヒョソプ インタビュー概要

  • 掲載:GQ KOREA 2025年7月号
  • デジタルカバー:アン・ヒョソプ×カルティエ サントス
  • テーマ:「THE MIDDLE WAY」 語られた内容
    • 幸福について
    • 時間について
    • 哲学との出会い
    • 人生観

アン・ヒョソプが自分自身に問いかける「ちゃんと生きてきたのか」

GQ KOREA

インタビュー冒頭で「もし自分自身をインタビューするなら、最初に何を聞くか」と問われたアン・ヒョソプ。

そこで出た答えは、

「あなたは、これまでちゃんと生きてきたと感じますか?」

という、自分自身への深い問いでした。

ヒョソプは、これまでの人生で良い選択も悪い選択も、すべて今の自分を作る大切な経験だったと語っています。

後悔した出来事もあったけれど、その痛みがあったからこそ成長するきっかけになった。

「今の自分に対しては言い訳できない」という言葉からは、自分の人生を自分で選び、その結果も受け止める責任感が感じられます。

常に自分を客観視するアン・ヒョソプの考え方

ヒョソプは、普段から自分自身を客観的に見ることを意識していると語りました。

例えば怒りを感じた時も、

「なぜ自分は怒っているのか」
「この感情はどこから来ているのか」

と、自分の感情を一歩引いて観察するそうです。

感情を無理に抑えるのではなく、その原因を理解することでコントロールする。

その姿勢からは、感情に流されるのではなく、自分自身と向き合おうとする誠実さが伝わります。

「つまらない人」と言われても、そのままの自分を尊重する

幼い頃、周囲から「つまらない人」と言われることがあったというヒョソプ。

当時は、それを悪いことだと思い、自分の一部分を隠そうとしていたそうです。

しかし30歳を超えた今、

「そのままの自分を尊重しよう」

と思えるようになったと語りました。

誰かに面白いと思われることよりも、自分自身が大切だと思えるものを大事にする。

周囲の評価ではなく、自分の価値観を信じる強さが、現在のヒョソプを作っているのかもしれません。

アン・ヒョソプが語る「自己愛」とは

以前「自己愛が足りなかった」と語ったこともあるヒョソプ。

その理由について、
「誰かが傷つくことには敏感なのに、自分が傷つくことは気にしていなかった」と振り返りました。

しかしある時(『浪漫ドクター キム・サブ2』で新人賞を受賞した頃)ふと「一生向き合わなければならない相手は自分なのに、なぜ自分を一番大切にしてこなかったのか」

と気づいたそうです。

ヒョソプにとって自己愛とは、わがままになることではなく、自分の人生を無視しないこと。

自分自身を大切な存在として認めることだと語っています。

Todo

わたしも“自己愛”ってのは「わがままに生きる」のではなく、自分の人生をちゃんと見てあげることだと思ってる!
「幸せになる」ということが誰かに与えられるものじゃなくて、自分の内面から育てていくものというメッセージもだけど、過去の自分を振り返って、少しずつ丁寧に、私たちに伝えてくれるヒョソプが本当に魅力的

哲学との出会いが変えたアン・ヒョソプの人生観

ヒョソプが哲学に興味を持つようになった理由は、単純な学問への興味ではありませんでした。

幼い頃から、

「この世界とは何なのか」
「なぜ人間には10本の指があるのか」
「私たちはどこから来たのか」

という疑問を抱いていたそうです。
その答えを探すために、哲学という分野に近づいていきました。

世界を大きな視点で理解し、自分自身の答えを見つけたい。
そんな純粋な探求心が、現在のアン・ヒョソプの深い思考につながっています。

22〜23歳で出会ったアルフレッド・アドラーの思想

アン・ヒョソプに大きな影響を与えた人物として語られたのが、心理学者アルフレッド・アドラー。

22〜23歳頃、アドラーの考え方に触れたことで、世界を見る視点が大きく変わったそうです。

本を閉じて顔を上げた瞬間、「世界が4K映像のように美しく見えた」と表現するほど、大きな衝撃だったと語っています。

それまでとは違う視点で人生を見るようになった、人生の大きな転換点でした。

このエピソードは2026年のyoutubeインタビューでも語られています
youtube「文明特急」!素顔とアドラーの教え

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アン・ヒョソプが大切にする「今ここ(Here and Now)」

アドラーの思想から影響を受けたアン・ヒョソプが大切にしている言葉が、

「今、ここ(Here and Now)」

です。

アドラーの「人生最大の嘘とは、“今この瞬間を生きていないこと”である」という考え方に、ヒョソプは深く感銘を受けました

過去への後悔や未来への不安ではなく、今この瞬間を生きること。
それが本当の意味で人生を感じることにつながると考えています。

ヒョソプが書いた日本語での「今を生きる」
Todo

私たちはつい、過去の後悔や未来への不安に心を奪われがちです。しかし、過去は記憶であり、未来は想像にすぎません。唯一確かな現実は“今、この瞬間”だけなんだよね

ヒョソプのこの考えは、2023年のファンミーティングタイトル「Here and Now」にも込められていました。

「今ここにいる僕たちが、一緒に幸せでいよう」

という思いは、今回のインタビューにも通じています。

おすすめ本『哲学は人生の武器になる』

この本は、ちょっと難しい部分もあるけどやさしくて面白く書かれている哲学の入門編的な本だからってよくおすすめしてくれている本。

幸せとは「快楽と苦痛のバランス」

ヒョソプが考える幸せは、楽しいことだけではありません。

「幸せ」と「苦痛」は対極ではなく、そのバランスこそが大切だと語っています。

『ドーパミンネーション』で知った考え方を例に、快楽だけを追い求めると感覚が鈍くなる。
だからこそ、苦労や努力があるから小さな幸せを感じられる。

そう話しました。

毎日の中にある小さな幸せ、
愛猫バウルが寝ている姿、
シャンプーの香り、
天気の心地よさ。

そんな何気ない瞬間に感謝できることが、本当の幸せだと感じているそうです。

アン・ヒョソプが考える「幸せ」の答え

最後に「アン・ヒョソプさんは今幸せですか?」と聞かれ、

「最近は、とても幸せです」

と答えました。

アン・ヒョソプにとって幸せとは、完璧な状態でも、大きな成功でもなく、

幸せと不幸、
快楽と苦痛、

その間にあるバランス。

それが「中庸」であり、今の自分にとって大切な生き方だと語っています。

インタビュー全文【日本語訳】

今回のインタビューを日本語に翻訳したものを載せておきます

インタビュー全文【日本語訳】はこちらをクリック

ご自身をインタビューするとしたら、最初にどんな質問をしますか?
HS: 僕が自分をインタビューするなら……。ゆっくり話してもいいですか?
GQ: もちろんです。
HS:(右下を見つめながら静かに考える。30秒ほど沈黙)
「あなたは、これまでちゃんと生きてきたと感じますか?」

GQ: 深い質問ですね。その問いが浮かんだのはなぜですか?
HS: 自分を客観視するのって、簡単なことじゃないですよね。だから、もし目の前に“自分”がいたとしたら、率直に聞いてみたいんです。そしてその答えが、自分の考えと一致するかどうか……いや、きっと一致すると思います(笑)。

GQ: 現在のアン・ヒョソプさんなら、何と答えますか?ちゃんと生きてきたと感じますか?
HS: 良い選択も悪い選択も、どれもそれなりの価値があったと思うし、それが今の僕を作っていると思っています。そういう基準で言えば、これ以上うまく生きるのは難しいかもしれない。もちろん、選択を後悔したこともあります。でもその選択が僕に“痛み”をもたらし、それによって成長せざるを得なかったきっかけにもなったので……。うーん、今の自分に対しては言い訳できないですね。

GQ: 自分の選択だからこそ、ですね。
HS: すべてが、そうです

GQ: 普段から自分に問いかけるタイプですか?に問いかけるタイプですか?
HS: 質問というよりも、常に自分を客観的に見ようと努力している気がします。たとえば「今、自分は本当に怒っているのか?」とか、「今誰かに対して何か言いたくなるこの気持ちは、どこから来てるんだろう?」とか。そんなふうに、自分の中のどこから出てきているのかを、ずっと見ようとしている感じです。現象をそのまま受け入れずに、すべてに因果関係があるという前提で、そのプロセスをたどろうとします。

GQ: たとえば怒ったとき、「これは本当の気持ちなのか?」と考えると、ちょっと冷静になれますよね。
HS: そうなんです。そして実際、その怒りをコントロールできるのは自分しかいないですから。誰かが良い言葉をかけてくれて気分が良くなることもあるかもしれないけれど、結局自分自身を制御できるのは自分しかいないと感じています

GQ: こういった性格は、生まれ持ったものもあるように思います。もし子どもの頃からそうだったなら、“大人びた子”って言われることが多かったのでは?
HS: うん、それか「つまらないやつ」ってよく言われました(笑)。
GQ: けっこう言われたんですね(笑)
HS: はい(笑)、よく言われました。それで僕は、それが悪いことだと思ってたんですよ。普通、友達は刺激的で面白いものを好むじゃないですか。だから、そういう「つまらない(※両手で引用符を作りながら)」部分をちょっと隠して生きてた気がします。でも、もう30歳も超えて、年を重ねるにつれて思うのは、「そのままの自分を尊重しよう」ってこと。それがしっかり自分の中に確立されて、誰がどう思おうと、面白くないと思われようと、自分が面白くて大事だと思えるものがあれば、それで十分です。誰かに迷惑をかけない範囲でね。

GQ: 生まれ持った気質ではあると?
HS: それはよく分からないです。でも自然にこうなった気もするし、今思い返すと、子どもの頃から「謙虚でいなさい」ってよく言われて育ったんです。たぶんその教えが、何かをするときもただ流れのまま行動するのではなく、一度立ち止まって「ん?今の自分の行動はどうなんだろう?」と考えるきっかけになったのかもしれません。

GQ: 以前「自己愛が足りない」とご自身で表現したこともありましたよね。
HS: それを感じたのは、誰かが傷つくのを見るのは耐えられないのに、自分が傷つくのは平気だった時です。僕、体にけっこう傷が多いんですけど、ある瞬間ふと、「一生向き合わなきゃいけない相手は自分なのに、なんで一番自分を大切にしてこなかったんだろう?」「自分のことを一番見るのは自分なのに、なんで愛してあげなかったんだろう?」って思ったんです。たぶん、あなたが見たインタビューは、そういう考えを持つ前だったと思います。

GQ: 5年前、『浪漫ドクター キム・サブ2』で新人賞を受賞した頃ですね。
HS: そうですね。だから今は、前よりも自己愛を見つけようと努力していると思います。だって、自分の人生は自分が生きるものだから。結局、自分が幸せであることが“幸せ”なんです。でも、それは「わがままに生きる」って意味じゃなくて、少なくとも「自分がいるこの人生を無視しないようにしよう」とか、「もう少し価値あるものとして見てあげよう」とか、そういう考えをだんだん持つようになってきました

GQ KOREA

後半部分

GQ:GQのおかげで今、本を読んでいるんですよ。『哲学は人生の武器になる』って本です。前回の「マイ・エッセンシャル」で、哲学に入門するきっかけになった本だって紹介してくれましたよね。
HS(アン・ヒョソプ):ああ!すごく面白くないですか?僕がこの本を読み終えたのは数年前なんですけど、普通“哲学”って聞くと難しくて退屈な印象があるじゃないですか。でもこの本は、ちょっと難しい部分もあるけど、やさしくて面白く書かれているから、おすすめしたんです。

GQ:さっきお話ししてくれた“選択の主体性”って、この本にも出てくるんですよ。サルトルの思想として。
HS:ああ、そうなんですか?
GQ:そのことを思い浮かべて話したわけではないんですよね?
HS:ああ、そうです。内容をはっきり覚えてるというより、自分の生き方に適用して覚えてる感じです。つまり、僕はこう思ってるんですよ。本の一節を読んだり、動画のワンシーンを見たりして、それがすぐに自分の中に取り込まれるわけじゃないと思うんです。人間の脳はずっと働いていて、そうやって取り込まれた情報が、ものすごくたくさんのシステムを通して回り続けている。10年かかることもあるし、3年で出てくることもある。本人には分からないんです。「すごいアイデアが浮かんだ!」って思っても、それは実は自分が生み出したんじゃなくて、脳が長い時間をかけて情報を集めて、最後に導き出した結果だと思うんです。だから(後悔しないという話は)この本だけじゃなくて、いろんな似たような経験や場面を経て、自分なりに選んできた考え方なんです。

GQ:今すごく楽しそうな顔で、めちゃくちゃ早口になってたの知ってました?
HS:そうですか?(うつむいて笑う)

GQ:アン・ヒョソプをテーマにした本を作るとしたら、そのジャンルとタイトルは何がいいですか?
HS:(「うーん…」とじっくり考えてから)『アン・ヒョソプ:ただの、もう一人の人の話』かな。誰もがそれぞれの世界を持ってるじゃないですか。僕が見ている世界と、記者さんが見ている世界は違うでしょう?“アン・ヒョソプ”がテーマなら、僕がどんなふうに生きてきたかとか、どういう視点で世界を見ているのか、それを「この世界に存在するもう一人の人の視点から語る」以外には、語れることってあまりない気がするんですよね。だからそのタイトルにします。

GQ:その本の中で、一番大事なエピソードを選ぶとしたら?
HS:哲学者アルフレッド・アドラーに出会った瞬間かな。たしか22〜23歳の頃だったと思います。アドラーの哲学を完全に理解してるなんて口が裂けても言えませんけど、当時読んだ本を通して、それまでとは全く違う視点で生き方を考えるようになったんです。初めて本を閉じて、世界を見上げて、涙を流しました。どんな感覚だったかというと、映像の画質が上がったような感覚。いまでも鮮明に覚えてます。白い4人掛けのソファの端に座っていて、前にテレビがあって、本を閉じて顔を上げたら、世界がまるで4Kみたいに、ものすごく美しく見えたんです。「今まで自分は嘘の中で生きてきたんだな」って。何かに“目を開いた”瞬間でした。僕にとっては、その瞬間が一番インパクトが大きかったです。

GQ:何にそこまで感動したんですか?
HS:アドラーが言う“人生最大の嘘”って、「この瞬間を生きていないこと」なんです。じゃあ、どうやってこの人生を生きればいいか?アドラーの心理学を、哲学者の岸見一郎さんがこう整理してました。“スポットライト(ピンライト)の中で、ゆっくり踊るように生きろ”って。ピンライトの中って、前も横も後ろも見えないですよね?今この瞬間しか見えない。その中でゆっくり踊るように生きろ、っていうんです。これはすごく要約された話ですし、ある意味で“よくある話”かもしれません。「カーペ・ディエム」みたいな。でも、実際に“今この瞬間を生きてる人”って、そんなに多くないと思うんです。僕自身も、これまでずっと過去を後悔したり未来を心配しながら生きてきたなと感じて、それ以降、どんな経験も、これから起こるすべてのことも、謙虚に、感謝して生きていこうと強く思ったんです。本を閉じた瞬間に涙が出たのは、だからこそ、その瞬間がありがたかったんですよね。この世界に“今”存在しているということが、とても感謝すべきことだと感じたんです。

GQ:そのことに気づけたこと自体が、感謝すべき出来事だったんですね。
HS:はい。そこからの“宿題”は、常にそれを“意識し続ける”ことでした。人って、忘れちゃうんですよ。アドラーの言葉を借りると、人はこれまでの人生の半分以上を“努力して”生きなければ変わらないらしいです。普通の人は変われないって言うけど、彼はそうは思ってなかった。たとえば、50歳の男性なら、これからの25年を努力して生きなきゃいけない。10歳の子どもなら、5年努力すれば15歳には変われるって。だから僕にとってもそれが宿題だったんです。22〜23歳でその話を読んだので、これから10年はそうやって生きようって。そうやって常に意識するよう努力しました。

皮肉なのは、人ってお金を稼いで、面白いことをして、将来のために貯金したりするじゃないですか?でも、“幸せ”を感じられるのって、今この瞬間だけなんですよ。幸せっていう感情を感じられるのは、今以外にない。そのことに気づこうとしてる最中です。

GQ:その努力は、今うまくいってますか?「今」に集中できてますか?
HS:必死ですよ。もがきながら、ずっと追い求めて、そう思おうとしてます。簡単じゃないです。本当に忘れちゃいますし、イライラすることもあるし、明日のセリフのことで不安になったりもします。

GQ:「今を生きろ」「カーペ・ディエム」「心を“今ここ”に置くことが幸せ」って、昔から語り継がれてる言葉が“陳腐”に見えるのは、それが難しいからですよね。
HS:そうなんですよね。でも、それしかできないんです、僕が今できるのは“求め続けること”だけ。ちなみに、さっき“幸せを感じるには“今ここ”に心がなきゃいけない”っておっしゃいましたよね。僕が好きな表現が「今、ここ」なんです。今、コンマ、ここ。だから僕のファンミーティングの名前も『Here and Now』でした。「今ここにいる僕たちが、一緒に幸せでいよう」という意味を込めて。

GQ:アン・ヒョソプさんは、今幸せですか?
HS:最近は、“すごく”幸せです。何が幸せかというと、僕、刺激的な生活をかなり減らしたんですよ。お酒もあまり飲まなくなったし。ショート動画(ショーツ)も、撮影の待ち時間には見ることもあるけど、家ではできるだけ避けるようにしてます。たとえばお酒って、簡単に快楽を得られるじゃないですか。でも、そういうのをやめてから、初めて小さなことに気づけるようになったんですよね。小さなことに感謝できるようになったんです。

最近すごく印象に残ってるのが『ドーパミンネーション』という本で読んだ考え方なんですが、簡単に言うと、快楽と苦痛を感じる脳の領域って同じらしいんです。この2つは密接な関係があって、まるで“天秤”みたいに動く。快楽がこのくらいあるなら、それと同じくらいの苦痛が必要。脳はずっとそのバランスを取ろうとする。だから、すごく疲れたあとにこそ快楽が必要になるんです。つまり、楽しいことを感じるためには、痛みが必要なんですよ。

この考え方が本当に役に立つのは、「つらいこと」って、むしろいいことなんだって思えるところ。たとえば、毎日ビールを飲んだら美味しくないじゃないですか?でも、すごく疲れて家に帰ってから飲む1杯のビールは本当に美味しいですよね。快楽ばかりだと、感覚が鈍くなる。だから本当の幸せを感じるには、痛みが必要なんです。

そして一番大事なのは、その快楽と苦痛のバランスが取れてないと、“ちょっとした幸せ”を感じられないってこと。本でも言ってましたけど、「極端な幸せ」や「極端なつらさ」よりも、“地味でバランスの取れた生活”のほうが魅力的だって。そういう“淡々とした日常”の中に、小さな幸せがあるんです。

たとえば「今日、バウル(ヒョソプさんの飼い猫)が鼻を鳴らして寝てた」とか、「今日のシャンプーの香りがいいな」とか、「今日の服、よく似合ってるな」「今日の天気、なんでこんなに気持ちいいんだろう」とか。そういうのに、すごく感謝できるようになりました。だから、幸せです。

GQ:友達から“面白くない”って言われるのって、そういうところですか?
HS:そうなのかな?ちょっとショックですね(笑)。僕が新しく知った考え方を友達に話すと、「またかよ~」ってすごく退屈そうにするんです。だから最近は、もうあまり話さないようにしてます。僕にとっては、それが一番面白い話なんですけど(笑)。

GQ:私は面白いですよ。とても興味深かったです。今に始まったことじゃなく、以前からフロイトやウィトゲンシュタイン、いろんな心理学者や哲学者に関心があったんだなと思いました。
HS:哲学をちゃんと学ぼうとしたわけじゃないんです。なんていうか、すごく漠然とした話なんですけど、小さい頃からずっと僕を悩ませてきた疑問があるんですよね。この世界って一体何なんだろう?どうして僕たちには10本の指があるんだろう?僕たちはどこから来たのか?って。そういう問いが、ずっと僕を苦しめてきました。それに答えてくれそうな、一番近い学問が哲学だったんです。僕はただ、この世界をもっと大きな視点で理解したかった。自分の中から、自分なりの答えを見つけて、自分だけの“アルゴリズム”で世界を見たかったんです。

GQ:実は最後の質問、少し迷ってたんです。「あなたは幸せですか?」って聞くのが、正しいのかどうか…。人間が追い求める“最上の価値”を“幸せ”と断言してもいいのか疑問で。
HS:僕は、“幸せ”だと思います。人が“幸せを求めない理由”って、ないと思うんです。もちろん、“幸せ”の定義は人それぞれですけどね。“幸せ”と“不幸”、“幸せ”と“苦痛”みたいに分けるんじゃなくて、その間の“バランス”こそが、僕にとっての幸せです。それが“中庸”っていうんですかね?今の僕にとっては、それが一番大切だと思います。

GQ KOREA

まとめ|アン・ヒョソプが語った人生哲学

今回の「GQ KOREA」インタビューでは、俳優アン・ヒョソプの華やかな姿だけではなく、一人の人間としての考え方を見ることができました。

自分自身を客観視すること。
過去の選択を受け入れること。
今この瞬間を大切にすること。

哲学的で難しく感じる部分もありますが、根底にあるのは「自分の人生を丁寧に生きる」というシンプルな考え方なのかもしれません。


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